椎名林檎はニンジンが好き
23時56分。散歩。
心から安心できる道なんてない。
早歩きの人は家に何を待たせているのだろう。
ガソリンスタンド。
赤、黄色、緑。
三色の文字が、色には出ていない輪郭を持って何かを訴えている。
同じ太さか?同じ濃さか?
「レギュラー」だけが少し前にある気がした。
止まりたくなった。
が、そこを出ようとする運転手が手を払っているから、進んだ。
セブンイレブンの看板があった。
これも赤がうるさい。緑が眠っている。
何かが怖い。
赤から逃げて、目の前にあったのはローソン。
ようやく逃げれたと安堵したが、そこには青を包み込もうとする赤があった。
何かがおかしい。走る。帰る。
そこには赤信号があった。
ビニール傘越しでも目の奥を突く黒っぽい赤。
押す。赤で止まるのが怖かった。
写真を撮りながらそんなことを書いていたら、職質された。紺色の制服がより青く見えた。ありがとう。安心した。帰宅。
家の壁が黄色い。いつも黄色い。赤と青の間に揺れ動く今の自分には、安心でもあり、不安でもあった。黄色は青から赤に変わるその時。
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「タイム・トラベル」 原田真二
ドラマ「僕とスターの99日」の主題歌としてスピッツがカバーしていた曲のオリジナル。40年も前の曲とは思えないあたらしさ、まさにニューミュージック(70代〜80年代に流行った日本のポピュラー音楽の一種)。”40年前のニューミュージック”って、”遅れてきたルーキー”の進化系みたい。